水月昭道(著)『高学歴ワーキングプア−「フリーター生産工場としての大学院」』光文社新書、2007年
[URL] (ARG)
石渡 嶺司(著)『最高学府はバカだらけ−全入時代の大学「崖っぷち」事情』光文社新書、2007年
[URL] (bk-1)
ショッキングなタイトルの2冊。
 歴史など「非実用分野」において博士卒がなかなか常勤職を得られないことは大学院重点化以前からであるが、学位取得の増加とその先のバランスは加速度的に悪くなっているようである。他人事ではない。
 都会の大学院であればたくさんの人が先行きに困惑してる状況を目の当たりにするので、入学前後に事態は徐々に認識できてくるが、地方大だと修了者の姿は新入生にはほとんど認知されなくなっていることが多い。修了目指して突っ走り、ゴールについたつもりが突然、一寸先は闇となり、ようやく状況に気づくという感じの人もいる。
 ただ博士修了や学位は学問上において価値あることであってもともと仕事には結びついていない。学芸員や司書資格にも似て、それが職業につながるには社会的な需給バランスと運も大きくかかわっている。そして、他世代より人口比が高い世代において、また将来、少子化がみえている現在において、厳しい状況がうまれるのは必然である。
 立場によって見え方は違うかもしれないが、大学、大学院はこれらの本に書かれているように認識されている、またはそういう認識が広がりつつあることは事実であり、ともに警告の書として読んだ。