拝受 北斉国家論序説−孝文体制と代体制
2011-06-24


岡田和一郎、北斉国家論序説−孝文体制と代体制、『九州大学東洋史論集』第39号、2011年4月。

 岡田さんからいただいた。ありがとうございました。
 アジア史における北斉政権の特徴を論じたもの。従来、北斉政権を論じる際、用いられることの多かった民族対立の枠組を越え、「北斉国家」に「孝文体制」と「代体制」という新たな概念をおくことで、政局の構造変化を「包括的」に把握しようとする。
 ただ論文構成を見ると、煩瑣な史料分析の過程を前面に出すことなく、史書上のトピックについて、先行研究を批判しながら上述の概念設定をあてはめて整理していくことで、「拓跋国家」論へと結論をつないでいくプロットがみえる。叙述の技法としては読みやすさにつながっているが、史料の実証性、新規性という点では疑問がある。先行研究がすくない分野ではないのだから、一論文で論点を包括しようとしすぎであろう。
 またたびたび陳寅恪を引用し、北斉政権の後代における位置づけを確認しつつ論を進めるがこの点も少々疑問であった。10年以上前に自分も同様の表現を用いたが、すでに史料環境は大きく変化しており、現状ではちょっと軽すぎる表現に思えるのだがどうだろうか。
(7/5 末尾を少し修正。むしろ五代史志を意識したものと読みなおしたため)
[○五胡北朝]
[隋唐]
[拝受]

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